本職はデータ分析。趣味でAIの力を借りて『駅つなぎ』というゲームを作った話-ぐぐりらにっき

こんにちは、ぐぐりらです。

久しぶりのブログです。

今回は、最近趣味で作っている『駅つなぎ』というゲームの紹介をしたいと思います。

## AIの力を借りてアプリ開発

もう言及するまでもないことですが、最近のAIの進化はすごいですね。
技術系の友人とご飯に行くと、大抵LLMの話が出てきます。
「前回会った時は〇〇が出た頃だったけど、まだnヶ月しか経ってないのか」、みたいなLLM関連のニュース基準で前回いつ会ったかを思い出すような会話をすることもしばしばです。

世間と比べて少し遅めではあったものの、自分もようやくClaude CodeやCursorといったツールを触り始め、確かにすごいと思い色々と試していた過程で、気がつくと『駅つなぎ』というゲームを作ってリリースしていました。

駅つなぎ駅つなぎ

モードは三つ用意していて、ベーシックなカジュアルモード、ボーダーラインを下回るまで続けてハイスコアを目指すチャレンジモード、隠された目的地を推理しながら目指すデイリーモードがあります。

デイリーで毎日サクッと遊ぶもよし、カジュアルで練習してチャレンジで高得点を目指しランキング上位を目指すのもよし。いろんな遊び方ができるように工夫しました。

駅と駅の繋ぎ方は、訪問済みの駅に隣接している駅を選択肢の駅から選ぶだけ。

最初は回答方法を自由入力にしていましたが、難易度が高すぎてあまり遊んでもらえませんでした。フィードバックを得て、選択回答式に変えたところ気軽に遊べるのが良いとより遊んでもらえるようになりました。

路線図の舞台となるエリアは執筆現在は全部で8エリアあります。東京5エリアに加えて横浜、名古屋、大阪を用意しています。ある程度路線図が複雑でゲーム性が出るところに絞っています。

エリアによってゲーム性が変わってくるのも面白いなと感じます。東京駅付近の密集した地域ではどのルートが最短経路なのかがゲームの肝になる一方、もう少し郊外のエリアになると経路としては一本道だが駅の順番を正しく覚えているがが鍵になることが多いイメージです。

ちなみに自分の得意なエリアは東京中部、南部、横浜あたりです。

あなたもぜひ遊んでみて、得意なエリアを見つけてみてください！

## 個人的推しポイント

ここからは、『駅つなぎ』の推し機能についていくつか紹介していきます。

### 役割の異なる3つのモード

先ほど書いた通り、『駅つなぎ』には三つのモードがあります。

ベーシックなカジュアルモード、やり込み用のチャレンジモード、サクッと遊べる変わり種のデイリーモードです。

最初はカジュアルモードのみからスタートしましたが、遊ぶハードルを下げるため難易度を調整していく過程でカジュアルモードだけではスコアの差別化ができなくなってきたタイミングで、やり込み用の高難易度なチャレンジモードを作りました。

チャレンジモードでは、タイムショックのようにラウンドごとにボーダーラインが上がっていき、その点数以下をとってしまうと即終了というルールのもと、高得点を目指します。

ヒントを使ってもスコアは引かれるので、何回かはヒントで強引に切り抜けられてもいずれ脱落してしまうという、より純粋な実力が試される設計になっています。

チャレンジモードの結果はランキングに反映されます。他のユーザーと点数を競い合うことができ、名前もランキングに載るのでランクインした時は結構嬉しいです(笑)
      
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執筆現在では月間ランキング(全エリア共通)と歴代ランキング(各エリア別)の二種類のランキングを用意しています。

エリアごとにランキング上位のプレイヤーが変わったり、複数エリアでランクインしている人がいるなど、見ていて面白いです。

一方で、デイリーモードは目的地が隠された状態でゴールを目指していく、他の二つのモードとはちょっと変わったモードです。

目的地は日替わりなので、毎日各エリアで1回ずつ遊べるようにしています。
      
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目的地が隠されたモードは開発初期からアイデアにはあって、どこかで形にしたいと思っていたのですが、SNSでシェアされやすいゲームとしてWordleのような1日1回だけ遊べる系のゲームってあるよなーと思い、それらを組み合わせて一つのモードになりました。

ユーザーの声を聞くと、「カジュアルやチャレンジといった本体のモードよりもなんならこっちが好きまである」みたいな声もあって、モードの幅を広げて良かったなと感じています。

作るにあたって工夫した点としては、目的地がわからないので推理するための情報を追加することで難易度を調整している点が挙げられます。

例えば、現在の目的地までの最短駅数を表示したり、目的地の位置を訪問済みのグラフ上に星マークで出しています。

余談ですが、目的地が隠されているというアイデアのもとになっているのは、桃鉄なのかなと思っています。意識してなかったですが、小さい頃に遊んでいた昔の桃鉄に、目的地が???になるというイベントがあったような気がするなと、今記事を書いていて思い出しました。

### 振り返りにぴったりな詳細な分析機能

目的地に辿り着けなかった時、あるいは辿り着けたけど最短駅数でなかったときに、詳細な分析という画面を出すようにしています。

そこでは、自分が訪問した駅を、目的地に向かう経路上の駅と余分な駅の二つに分けて、最短駅数でなかった原因を確認することができます。

経路がそもそも最短経路ではなく遠回りしていたのか、それとも目的地に向かう経路には必要のない余分な駅を回答してしまっていたのかがわかると、改善する点がわかります。

例えば、次の画像では、あなたの経路(左)と正解例(右)を比べると、遠回りなルートを選択していたことがわかります。
     
<div class="separator" style="clear: both;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjVb4MKH9PexPkC6Ddg4EhK80fWudJ_rfnMpVBql5CS4oMkDt85tcdVm1fJVk7KJo86k4eE08GJwRVaoT1VzILQB6hjEaqq6m1bEVVt0WSmR2OGINEaZcwsSBRfLBAkIqN-sc_ilZ3Zl_0BkVD5uGg2C56GZRqao1J9o4jrrBr1SbMVnpsd-pLwx4hPm8Wb/s1170/Untitled%20design.png" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; "><img alt="" border="0" width="400" data-original-height="778" data-original-width="1170" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjVb4MKH9PexPkC6Ddg4EhK80fWudJ_rfnMpVBql5CS4oMkDt85tcdVm1fJVk7KJo86k4eE08GJwRVaoT1VzILQB6hjEaqq6m1bEVVt0WSmR2OGINEaZcwsSBRfLBAkIqN-sc_ilZ3Zl_0BkVD5uGg2C56GZRqao1J9o4jrrBr1SbMVnpsd-pLwx4hPm8Wb/s400/Untitled%20design.png"/></a></div>

一方、下の例は、経路としては間違っていないものの、余分な駅(=寄り道)が含まれていて最短駅数となっていない場合です。
      
<div class="separator" style="clear: both;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEj-oKjb3PnIqZUcsElfadwiK1CNLMWfeau6TFvFNZKTjY4wkc-nOjI7OC1Wv7g_ZqVkKZe_-hRBBo78OxRnf37gXZuR8ErwjmgjEjJ2D0ulgWhJZgwVY3Ei-QJ9JDV1JS9jaPcXBMB819lGUs7ckvkn0SaVGa-gcY0p59RX3AedXnmz5tDj6crQjYTglLL6/s1828/IMG_4557.JPG" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; "><img alt="" border="0" height="400" data-original-height="1828" data-original-width="1179" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEj-oKjb3PnIqZUcsElfadwiK1CNLMWfeau6TFvFNZKTjY4wkc-nOjI7OC1Wv7g_ZqVkKZe_-hRBBo78OxRnf37gXZuR8ErwjmgjEjJ2D0ulgWhJZgwVY3Ei-QJ9JDV1JS9jaPcXBMB819lGUs7ckvkn0SaVGa-gcY0p59RX3AedXnmz5tDj6crQjYTglLL6/s400/IMG_4557.JPG"/></a></div>

このように、最短駅数を超えてしまった分の駅数が、遠回り(経路選択ミスによるもの)なのか、寄り道(余分な駅の入力が原因)なのかを分析してくれます。    
      
      
また、上の例では目的地に到達したが最短駅数ではなかった時の詳細な分析画面で説明しましたが、
この詳細分析機能を拡張し、目的地に到達できなかった場合にも表示するようにしています。

<div class="separator" style="clear: both;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiyy3elMstsb_tokX1_f1F88_VlDLOkabJdnnzKSR2wtW1mSrtGB6VB9uMtXU126UIV5bPWOqkjAY83sjG4hyphenhyphenOJfr-Oa1Y6exkVqtbQrIY6DD3MNeTF-qQotAfAdaYWbWd2TtLQv8ofaOAHrE2Gh3NkYmH1_6QeEQ6h3o2d2vqmRVNMM0BUkp8NbQwGVJiK/s1790/IMG_4562.JPG" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; "><img alt="" border="0" height="400" data-original-height="1790" data-original-width="1179" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiyy3elMstsb_tokX1_f1F88_VlDLOkabJdnnzKSR2wtW1mSrtGB6VB9uMtXU126UIV5bPWOqkjAY83sjG4hyphenhyphenOJfr-Oa1Y6exkVqtbQrIY6DD3MNeTF-qQotAfAdaYWbWd2TtLQv8ofaOAHrE2Gh3NkYmH1_6QeEQ6h3o2d2vqmRVNMM0BUkp8NbQwGVJiK/s400/IMG_4562.JPG"/></a></div>
            
途中までユーザーが訪問した駅から、目的地までの経路を復元することで、経路の途中までおよび目的地までの残りの経路を表示するようにしています。
復元した経路を用いて、先ほど説明した遠回り/寄り道の分析も同様に表示してくれます。
これにより、例えば「到達していたとして経路は正しかったのか？」といったより高度な分析が可能となっています。
      
      
      
これらのフィードバックをもとに振り返りを行うことで、あやふやだった部分の知識が自然と整理されていきます。
      
自分もこの詳細な分析機能の体験をテストするために、土地勘のない大阪エリアを遊んでみていますが、だんだんと覚えられてきているのが実感できて面白いです。

最初は学習モードという独立したモードの中でストイックに覚えていくというのを考えていたのですが、所詮ゲームのために真面目に覚える人はいないかと思って方針転換し、ゲームの中で違和感なく覚えられるように学習の機会を差し込んでいくことを意識しました。

### 詰まった時のためのヒント機能

難易度調整のために、プレイ中はヒント機能が使えるようにしました。
モードによって使えるヒントが変わるのですが、
最短経路の初手がわかるものや、目的地の隣の駅がわかるヒントがあったり、
目的地が隠されたデイリーモードでは目的地の通る路線がわかるヒントを用意しています。

最初に駅名を見て知らない駅でも、意外とその隣接した駅は知っていたり、
最短経路がわからないと思って初手の駅を見ると最短経路が思い付いたりなど、ヒントによっていい感じに解ける問題が増える体験が作れていると感じています。

ヒント機能を使うとスコアは下がるので使い過ぎに注意ですが、うまく使いこなして知識を増やすツールにして欲しいですね。

### 訪問した駅のグラフ表示

訪問した駅をグラフ表示にし、位置関係も緯度経度情報を活用してある程度再現するようにしています。

これによって駅の地理的なつながりを把握することにもつながりますし、これを手掛かりにゲームを進めることもできるなど、より良い体験につながっていると感じています。

開発初期はグラフではなくリスト表示をしていて、回答した駅の地理関係を頭の中で想像しながら解く必要があり、これも難易度が高すぎる要因の一つでした。

ユーザーからのフィードバックを受け、グラフ表示にしたところ遊びやすくなり、位置関係も覚えやすくなったという意見がいただけました。

### 絶妙なダミー選択肢

先ほど駅の回答方法を自由入力から選択式にしたことでより遊びやすくなったと書きましたが、
その選択肢の作り方もこだわっています。

詳しいロジックを書いてしまうとメタ的に情報を得られてしまって面白さが失われてしまうので詳細には書かないですが、
ユーザーが迷うような選択肢をなるべく入れられるようにルールを組み立てています。

もちろんまだ改善の余地はあると思いますが、一旦満足できるレベルに迷わせるダミー選択肢が作れていると感じています。
「あれ、心読まれている？」と錯覚するくらいの選択肢が出せたら成功ですね。

ちなみに、自由入力から選択式に変えたことで面白かったことがあります。

自由入力と違い、選択式だと自分の思ったルートで必ずしも行けるわけではないというのがミソです。すなわち、選択肢を見てどのルートで行く想定なのか？をユーザーが想像してそれにうまく乗っかる必要があるという新たなゲーム性が生まれたのです。

自由入力による回答のハードルを下げるという目的のつもりが、それに伴って新たなゲーム性が生まれたというのが個人的に面白かったポイントです。

### 徒歩接続でより現実に即したマップに

赤坂見附と永田町のように、乗換案内アプリでも徒歩で行くように表示される駅を、徒歩で隣接している設定にする「徒歩接続」機能を実装しています。

この徒歩接続をオンにすることで、より現実に即したマップで遊ぶことができます。

この機能は執筆現在はデフォルトでオンになるようにしているのですが、実装当初はオフがデフォルトでした。

理由としては、徒歩接続しているかどうかの基準が曖昧でユーザーが不満に思うのでは、と考えたからです。

一応ヘルプページにどの駅が徒歩で隣接している設定なのかを載せていますが、基準は自分の匙加減による問題は残っています。

それでも、徒歩接続はデフォルトをオンにしているのは、やっぱり徒歩接続があったほうが面白いかなという単純な理由です。

「この駅が繋がってないのかよ」みたいな不満があっても、それだけでやめちゃうことはないでしょう。加えて、その不満をXとかでポストしてくれるかも？という邪な考えも若干あります(笑)

駅つなぎ基準という独自の基準にユーザーが合わせるんだ、くらいの気持ちで作ろうと思っています。

## 余談でエモめの話

ここからはちょっと余談でエモめの話です。

### 駅つなぎの着想の原点

路線図パズル『駅つなぎ』のアイデアは、自分が路線図を見るのが好きなところから着想を得ました。

別に鉄道オタクとかでは全くなく、むしろあまり電車とかはよくわからない方ですが、路線図を見ていると面白いと昔からよく感じていました。駅と駅のつながりという位相的な構造が好きなのかなと思っています。

路線図を眺めながら、段々と頭に入っていくのを感じていたのですが、せっかく覚えられそうなら覚えてみるか、覚えたことをテストしたいなと思い始めました。

暗記のツールとしては暗記カードが定番ですが、路線の場合はつながりを覚えるということで、1対1の関係の暗記とはまた違った構造をしていると感じ、より適切な暗記のツールがあるはずと考え、じゃあ作ってみようと思ったのがきっかけです。

単に暗記するためのツールにするのではなく、ゲーミフィケーションのような方向で、楽しんでいるうちに気づいたら知識が定着している、というのをコンセプトに据えて開発しました。

### 覚えることについて思うこと

今の時代、路線図は別に記憶していなくても乗換案内アプリで済むので、覚える必要なんてないのですが、「単純に知識が増えるって楽しい」、「いろんなことを知っているってかっこいい」という価値観を大事にしたいと思っています。これは路線図に限らず、これからのAI時代の教育を考える上で暗記することについての自分の考え方が現れていると思っています。

細かいことは覚えていなくてもよく、AIなり検索エンジンなりで引っ張ってこれるのだから、概要だけ把握しておいて知識を使いこなす方に教育の方針を振りましょう、という考え方を目にします。

もちろん大枠はそういう流れになっていくと思います。自分が今回AIの力を借りて初心者に毛が生えたレベルのアプリケーション開発のスキルを増幅してリリースに漕ぎつけたように、広く浅く知っていることがAIにempowerされた時のできることの増分が大きくなるわけですから、そのような方針を取ることはとても合理的な判断だと思います。

それでも、コスパが悪くても、何か知識が増えることって純粋に楽しい、何かを聞かれて(外部のツールに頼らずに)即座に答えられる人ってかっこいい、という価値観を大事にしたいんですよね。

覚えることが一種の趣味・娯楽になるような世界になっていくのなら、覚えることが面白さの中心にあるようなゲームを作ってみたいという考えが自分の中にあったのかもしれません。

覚えることの効用は他にもあります。

知っていることが増えれば、見える世界が変わると思っています。

『駅つなぎ』でいえば、現実世界で普段乗らない駅を見た時に「これ駅つなぎでみた駅だ！」とちょっと嬉しくなります。

〇〇駅にここからいくのはどうやっていったら早いかな？と思った時、Yahoo乗り換えアプリを開く前にちょっとだけ自分の頭で考えるようになります。

アプリを遊んでくれたユーザーからも、「駅つなぎでよく見る〇〇駅に今日行った！」みたいな声をいただきました。

ほんの些細な変化だけど、ちょっとだけ日常が彩られる感覚が好きですし、それを提供できていると実感できるのは嬉しいものです。

## おわりに

AIの助けを借りながら慣れないアプリ開発をしましたという導入から、『駅つなぎ』の紹介、個人的推しポイント、最後に着想の経緯や開発時に考えていたことなどを書きました。

もしこの記事を読んで「ちょっとやってみたい」と思ったら、ぜひ一度遊んでみてください！

駅つなぎ

本職はデータ分析。趣味でAIの力を借りて『駅つなぎ』というゲームを作った話

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