伊坂幸太郎の「アイネクライネナハトムジーク」が文庫化したので読んでみた

こんにちは、ぐぐりら(@guglilac)です。
ずっと読みたかった伊坂幸太郎さんの「アイネクライネナハトムジーク」が文庫化したということでようやく読めました。(単行本ではやはりなかなか手が出せない、、、)

小説の紹介記事は再開後初ですが、よろしくお願いします。
ネタバレ要素を入れずに単純に紹介する記事にしたので未読の方も安心して読んでみてください!

ネタバレ記事も書きたいけれど、ちょっと調べたら熱心にまとめてくださっている記事が何個か出てきたのでそちらに任せようかと思います。



珍しい恋愛要素

伊坂幸太郎さんは超有名な作家さんで、作品もたくさんありますが、いわゆる恋愛小説と呼ばれる作品がとても少ないです。

本人も恋愛小説や映画などに疎いと自覚しているようで、あえてそのような要素をキャンセルすることで他の人間関係を強く描いているように思います。

そんな伊坂幸太郎さんですが、今回紹介する「アイネクライネナハトムジーク」は珍しく恋愛要素が多めな連作短編小説です。

この作品が生まれた背景として、シンガーソングライターの斉藤和義さんが伊坂幸太郎さんに作詞を依頼したことがあるらしいです。なんでも伊坂幸太郎さんは斉藤和義さんのファンなのだとか。

いいなあ、僕も偉くなってbumpとかradwimpsとかからなんか依頼されたいなああ

その時に依頼されたのが、出会いをテーマにした歌詞だったらしいのですが、結局歌詞ではなく今作品の1作目である「アイネクライネ」が誕生します。

その後もお二人の共同の活動は続き、今作品の2作目「ライトヘビー」が書き下ろされました。こちらも恋愛要素がメインです。

このように、斉藤和義さんの依頼によって生まれた最初の2作品に関連する物語として「ドクメンタ」「ルックスライク」「メイクアップ」が生まれ、連作短編小説としてまとめて出版するにあたり、今作のラストである「ナハトムジーク」を書き下ろしたそうです。

このような背景もあり、「ドクメンタ」「ルックスライク」「メイクアップ」は恋愛要素をキャンセルした従来の伊坂幸太郎っぽい作品になっていて、「ナハトムジーク」がこの5作品を綺麗にまとめる種明し的な役割を担っています。このあたりはさすが伊坂幸太郎という感じ。

各編の紹介

アイネクライネ

佐藤が主人公。大学時代の友人である織田夫妻とその娘や、上司の藤間などが登場。
織田夫妻の夫が、伊坂作品によく出てくるような人物。チルドレンの陣内とかに似てる。
この作品のコンセプトを宣言するかのように、「出会いとは何か」を述べる(怒鳴る?)シーンが印象的です。

いいか、後になって、『あの時、あそこにいたのが彼女で本当に良かった』って幸運に感謝できるようなのが、一番幸せなんだよ

とかね。この本全体を貫くテーマである出会いについてこう述べているわけで、折に触れてこの言葉を思い返しつつ読み進めました。

ライトヘビー

織田夫妻の妻の高校で同級生だった美奈子が主人公。美容師である美奈子の友人である香澄に、彼氏候補として弟を斡旋されるところから物語が始まります。

でも弟君とは直接会わずに電話だけで仲良くなっていく。8ヶ月ぐらい。変な感じ。
美奈子の友人として山田と日高が出てきます。
あと「斎藤さん」というミュージシャンが出てきます。斎藤さんって斉藤和義さんか、、??と思ったのは読後で、読んでる最中は「斎藤さん」と言われるとハゲてる方しか思いつきませんでした。笑

ドクメンタ

アイネクライネで佐藤の上司として登場した藤間が主人公。
ミスターズボラの藤間ですが、ズボラが原因で妻が娘を連れて家を出て行ってしまうところからが描かれます。

藤間の娘はアイネクライネの織田夫妻の娘と高校で友達になったりします。
人物相関図も複雑なうえ、時系列も正しく合わせて一冊にまとめるのって本当にすごいしわかるととても気持ちいい。

ルックスライク

織田夫妻の娘、美緒が主人公の作品。美緒はアイネクライネではかなり小さかったですが、ルックスライクでは高校生になっています。
美緒が無賃駐輪疑惑のおじさんを追う作品ですが、それと並行して一見関係のない男女の話が描かれていきます。

最後に綺麗にまとまります。
これは伊坂ファンを何年もやっていたのでわかりましたね笑
一つでもわかると楽しいもんです。

本作の中で一番好きな短編でした。

メイクアップ

ライトヘビーの美奈子の友人である山田の部下の結衣が主人公。
高校のころいじめられっ子だった結衣は社会人になり、いじめていた張本人である小久保亜希に仕事で出会います。

結衣の友人である佳織に復讐を勧められますが、まあいろいろあってしたりしなかったり、、、。

主人公の結衣の夫の正体が他の作品でわかるのが楽しいです。
このぐらいのさりげなさがちょうど良いね。

個人的にこの作品の最後にある意味深な伏線が回収されていないように思いました。
(1勝1敗のくだりと、辻井と津川の謎)

最近の伊坂幸太郎さんの傾向として、「全ての伏線を回収せずに余韻を残す」というのもあるのですが、他の伏線が綺麗に回収されていると自分の見落としでパズルが完成していないのではないかという不安にかられます。笑

多分「回収されてない」が正解だと思うのですが。。。

わかる方、ご意見ある方、教えていただきたいです!
コメントでもtwitterでも!

ナハトムジーク

ラスト。これまでの作品が全てまとまってでてきます。
謎も明かされるし、伏線も回収されてとても気持ちいい。

「出会いはその時はわからず、後になってわかるもの」

というコンセプトは、この本自体にも言えるのかもしれません。
ナハトムジークになってようやく、出会いを認識することがたくさんあります。

あの時のあれがあの作品のあれか!みたいなね。

僕の個人的な楽しみ方ですが、ナハトムジークを読む前に一回本を閉じて、お風呂にでも入ります。一気に読んじゃうと再開の感動を楽しみきれないかもという気持ちの反面、時間を空けすぎると忘れてしまう。お風呂ぐらいがちょうど良い。

伊坂作品は、ラストの短編の前にお風呂に入ろう。というライフハック。

まとめ

伊坂作品には超能力者とか、残忍な犯人とか、そういうのがたくさん出てくるんですが、アイネクライネナハトムジークでは出てきません。
馴染みのある恋愛をメインテーマに進む作品は、なかなか珍しいです。


そういったことからも、伊坂作品を読むにあたって初めの一冊にはもってこいかもしれません。
他の伊坂作品としては「砂漠」あたりに近いかも。
ハマったらぜひ読んでみてください。

ありがとうございました。

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