良い金利上昇と悪い金利上昇~金利についてのお勉強~

2018/01/02

diary 経済 読書

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こんにちは、ぐぐりら(@guglilac)です。 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

昨年の年末に急に思い立って再開した当ブログですが、
今年もゆるゆるこつこつ更新していこうと思うので、
よかったら読みに来てみてください!



新年一発目は、2、3年前に読んだ池上彰さんの
「知らないと損する 池上彰のお金の学校」
を読み返してみたので、その中の金利のおはなしについてまとめてみました。




(なぜ読み返しているか。
それは大掃除の時にでてきて懐かしかったからです)

最初に読んだ時とはまた違った視点で読めました。読書の醍醐味ですね。

公定歩合

金利はわかりますよね。銀行に預けておくと利子がつく、みたいなやつです。
お金を貸し出した時に、そのリスク分だけ利子をもらうわけですが、その利子の割合が金利と呼ばれるわけです。ここまではまあ。

まず昔話から入るのですが、昔は公定歩合というものを国が調整することで、この利子(金利)を調整していました。
以前は、各銀行は独自に金利を設定することができず、そのコントロールはすべて日本銀行によって行われていました。

各銀行が日本銀行からお金を借り、そのお金を用いて各企業や金融機関同士に貸し出しを行っていました。

このとき、日本銀行が貸し出すお金につけた利子を公定歩合といいます。
この公定歩合を調整することで、間接的に各銀行のつける利子を調整していたというわけです。

各銀行の気持ちになるとわかりやすいと思います。
日本銀行から利子付きでお金を借りてきて、そのお金を企業に利子付きで貸します。
このとき、日本銀行から借りた時の利子より高い利子をつけないと、あなたは赤字になってしまいますよね。

このようにして、間接的に各銀行のつける利子を日本銀行は操っていたわけです。

昔話おわり。
1994年に公定歩合は使われず、各銀行は自由に金利を設定できるようになりました。

短期金利と長期金利

とは言っても、金利を完全に勝手に決められるとやばそうです。
現在の国による金利調整はどのようにおこなわれているのでしょうか。
それを見ていくために、少し回り道。
金利にも種類がありまして、先に述べたように金利には「短期金利」と「長期金利」というものがあります。

-短期金利

短期金利はだいたい一年未満の貸し出しの際につく金利です。
逆に1年以上の貸し出しにつく金利は長期金利と呼ばれます。

この2種類の金利の決まり方には違いがあります。

短期金利は、金融機関同士の短期的な貸借りの際につく金利です。
金融機関同士も貸借りを行っており、コール市場と呼ばれます。

この金利は国によってコントロールすることができます。
具体的には、国が各銀行の持つ国債を買い上げたり、また逆に国債を各銀行に買ってもらうことでお金の流通量を調整します。

お金が金融機関の間に溢れるようになると、各金融機関は「お金が余っているわけだし少しぐらい利子が低くても誰かに貸しておこうかな」
となります。こうなると金利が下がります。
逆にお金の流通量が少ない場合、みんなお金を調達したいのに手に入らないということで借りるにはそれなりに高い利子を払わなくては手に入らなくなります。結果金利は上がります。

このように、国が国債の売買を通じてお金の流通量を調整することで金利の調整を行うことができます。この調整できる金利は短期金利のことです。

-長期金利

では長期金利とは何か。そして長期金利は国が調整できるのか。という点についてお話しします。
長期金利とは、さっき書いた通り長期の貸し出しにつく金利のことですが、長期金利のつく代表的な金融商品として、10年物国債があります。

10年物国債とは、10年経ったら元本が返ってくる国債のことで、持っている間、額面に応じて固定利付債というものがつきます。固定、というのは毎年得られる利子が一定額であることを表しています。
1年につき1万円もらえる魔法のカード、みたいに思ってもらえれば良いです。しかも10年経ったら額面に書いてある金額が返ってきます。

ここでは額面に書いてある額が100万で、毎年1万円もらえるとしましょう。
額面通りの額で買えば、利率は1%という計算になりますね。

しかし、この国債は必ずしも額面どおりの額で買えるわけではありません。
人気の国債は高くなるし、だれもほしがらなければ価格は下がります。

例えばこの国債を50万円で買ったとしたら(めっちゃ不人気な国債になった笑)、利率は2%になります。毎年もらえる額は1万円から変わらないのがポイントです。

この今計算した利率が長期利率にあたります。今の例で言うと利率は1%から2%に上がったことになりますね。

ではさっきの疑問に戻ってみましょう。国は長期金利を調整できるでしょうか?

答えはNoです。国は長期金利をコントロールできません。

さっき見たように、長期金利は国債が売買されている現時点での市場価格に依存しています。もう発行してしまった国債の取引額を調整するのは難しいですね。
長期金利は国が決めるのではなく、市場が決める、と言えます。

たとえば、株価が下がってきた場合、「株では儲からないしリスクもあるから必ず返ってくる国債に乗り換えておこう」といった動きがおこり、国債の価格が上がります。その結果、長期金利は下がることになります。
逆に、国の借金が増えたりして国の信頼が下がってきて、「この国の国債を持っているけれど、もし潰れてお金が返ってこなくなったらやだし今のうちに売ってしまおう」と考える人が増えれば国債の人気は下がるので価格は下がります。国債の取引額が下がるので長期金利は上がります。


良い金利上昇と悪い金利上昇

金利が上がると聞いてどんなイメージを持ちますか。
利子がたくさんつくのでハッピー?

これまで見てきた金利の性質を使うと、
金利が上がるといっても、良い原因と悪い原因があることがわかってきます。

素直に考えると、金利が上がるのは景気が良い時な気がします。
景気が良い時はお金への需要が高まるわけですから、当然金利も上昇します。
景気が良いので、これは良い金利上昇といえます。

しかし、先に見た長期金利のお話を考えると、国の信頼が下がって国債の人気が下がっても金利は上昇するのです。
国の信頼が下がるなんてあまり良くない話なのに金利は上昇する。
これが悪い金利上昇の例です。

もちろん一概には言えない部分もあると思いますが、金利上昇ひとつとってみても複数の原因が絡んでいるんですね。

まとめ


  • 昔は公定歩合をいじって金利調整していた
  • 今は国債の売買を通してお金の流通量を調整している
  • 金利のすべてを国がコントロールできるわけではない
  • 良い金利上昇と悪い金利上昇がある
この本はわかりやすいので読み返したくなるなあ。
どうもぐりでした。

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